書店が1店舗もない市が全国に24市ーー
そんな調査結果を出版の業界団体が発表した。
商店街に付き物のイメージがある書店だが、それがない光景とはどんなものだろう。
書店ゼロの市として発表された市の一つ、新潟県妙高市を歩いた。
書店のない市は全国で24市
9月、取次会社などでつくる出版文化産業振興財団は、書店が1店舗もない市が8月時点で15道県の24市に上ると発表した。
書店や出版社、取次会社などでつくる出版文化産業振興財団は、書店が1店舗もない市が8月時点で新潟県など15道県の24市に上ると発表し、妙高市や北海道芦別市、千葉県白井市など市名を公表した。「何かしないといけないと危機感を持ってもらうため、一石を投じた」としている。(2024年9月22日 新潟日報 記事より抜粋)
私はこの調査自体を今回のニュースで知ったが、町や村ならいざ知らず、「市」レベルでも書店が1店舗もないところがあるというのが驚き。
「市」であれば、ロードサイドやショッピングモール、そして商店街なんかに書店がありそうなものだが…
今回「書店が1店舗もない」と公表された市の一つ、新潟県妙高市を訪れてみた。
中心市街地をリサーチ
最初に訪れたのは妙高市の中心部、新井駅周辺。

昔ながらのお店が立ち並ぶ風情ではなく、きれいに整備された近代的な印象のアーケード街。
ただし、日曜日というのに人の気配はあまりない。
それはここに限らず地方の多くの商店街にいえることだろうが、アーケードがきれいな分、余計に「虚」が際立つというか…
スピーカーから流れるラジオの音だけが響き渡っている。

↑商店街にはショッピングモール的な建物もあったが

↑ほとんど空テナント
書店どころか、業種にかかわらず空いているお店自体が少ない。
開いていたお菓子屋さんで好物のかりんとうまんじゅうを買い、次のポイントへ。
書店があった場所に行ってみる
事前リサーチをする中で、とある検索エンジンで「妙高市 書店」と検索したところ、「書店」として2軒がヒットした。
ただ、妙高市が「書店ゼロ」と発表されたからには、そのどちらも今はやっていないということなのだろう。
最初に訪れたアーケード街にほど近い場所のようなので行ってみる。

偶然にも、ヒットした2軒の書店は、道路を挟んで対面に立地していた。
↑文進堂書店と
↑志保屋書店
どちらのお店もシャッターが下りており、「閉店」なのか「休業」なのか、傍目にはわからない。
でも、妙高市が「書店ゼロ」という事実。

まだお店のステータスが「閉業」とはなっていないグーグルマップで2つの書店のクチコミを見つつ、在りし日の姿を想像してみる。
こういう、まちの小さな書店の雰囲気って個人的にはたまらないものがある。
そんなお店を大切にしたいと思うけれど、郷愁にかまけてばかりで、普段使いでどれだけ貢献できているだろうかと省みる。

「書店のない市」の読書ニーズはどう満たされているのか
いまはやっぱりインターネットで本を買えば事足りるのだろうが、書店がないことがどこかに物理的に表れていたりはしないだろうか。
ひょっとして、スーパーの一角にある雑誌や書籍のコーナーがやたら充実していたりして…

↑妙高市のスーパーにやってきた
結論から言うと、特段そんなことはなかった。
よくある雑誌の陳列で、書籍は充実しているどころか、オムニバス系がわずかにあるばかり。

↑ただ、隣接するドラッグストアの店内では

↑バーゲンブックフェアなるものが!これは「書店ゼロ市」ゆえのお店の謀略か!?
それならば、図書館はどうだろう。
書店がない代わりに、やけに蔵書が充実していたり、多くの市民が活字に飢えて図書館に集結していたりしないだろうか。
↑妙高市図書館
…普通の図書館でした。
来館者も訪問時はそう多くなく、雰囲気もなんとなくこじんまり。
「書店ゼロ市」だからといって、仮説のような短絡的なストーリー展開はないよな。
と思っていると、あるものを発見。

↑ブックリサイクルコーナー
図書館が除籍した図書を「リサイクル本」として配布する例は多くの自治体であるようだが、このコーナーでは一般の方が不要になった本も受け付けて循環しているよう。
多くの本に値札が貼られたまま並べられていた。
これぞ、市民に本との偶然の出会いの機会を提供する「書店ゼロ市」ゆえの光景ではないか!(考えすぎ?)
「ご自由にお持ちください」とあったので、私も西澤保彦の『スコッチ・ゲーム』を頂戴しようかと手に取ったのだが、思い直す。
書店がない妙高市民の貴重な機会を奪ってはならぬ…!
手に取った『スコッチ・ゲーム』をそっと棚に戻し、妙高市図書館を後にした。
妙高市新図書館 令和7年供用開始予定!
妙高市街を歩いていると、こんな文字が。

↑新図書館とな
どうやら、新図書館を含む複合施設の建設を近々予定しているとのこと。
↑絶賛建設中
場所は、妙高市の中心市街地、市役所本庁舎や私が最初に訪れた歩いたアーケード街の近く。
書店のない市で、どんな素敵な図書館ができるのだろう。
新図書館ができた暁には、私も西澤保彦の『スコッチ・ゲーム』を読みに来ようかな。
(いや、買えよ)