自分がセンター試験を受けてから十数年。
文系だったのでたった一日の試験でしかなかったが、その日のことはいまでも鮮明に覚えている。
バスで会場に向かおうとバス停で待っていたのに、時間を間違えたかバスが一向に来なかったこと。
別の高校の知らない女の子とポツンと2人、これはおかしいと二人で別のバス停まで走った。
恋でも芽生えそうな展開だが、別にそんなことはなかった。
英語のリスニング試験の最中に、会場の外に物売りの車がスピーカーで何やら鳴らしながらやってきて気を削がれたこと。
試験官がターバンを巻いた外国の人だったこと。
センター試験の夜、久々の息抜きで見たテレビの「イロモネア」という番組で当時流行っていた芸人の「響」を初めて見て、インパクトに面食らったこと。
(いまはどこへ?)
何がやりたいとか、どうなりたいなんてものはなく、目の前にセンター試験があるから勉強した。
大学に入れば何かが待っている気がしていた。
自己採点によればセンター試験で大きく失敗することはなく、私はその春に大学へ進学できた。
でも、失敗をしたらしたで別の人生が待っていただろう。
今がどうというわけではなく、どういう人生が幸せなんて誰にもわからないと、今は思う。
目的もなく盲目的に勉強していた自分が阿呆だとも思う。
それでも試験に向けてひたすら汗を流したあの日々を、時々愛しく思い出すときがある。
努力至上主義は捨てたいけれど、この先もずっと張り合っていくのだろう、あの頃の自分と。

