結婚式の招待状にあった会場は、東京・虎ノ門ヒルズ。
上越新幹線で上京した私は建物に入るなり気後れした。
あまりに垢抜け過ぎたその空間に、その辺のイスで時間をつぶすのさえ所在ない。
トイレですら、暗い照明がムーディーでおしゃれ。
でも男性用の小便器まわりが少し汚れている。
それを見てなんだか少し安心したのだった。
披露宴会場に入ったころには日が沈み、52階の大きな窓から東京の夜景が見えた。
なんてきれいなんだろう。
約10年前、大学進学を機に’なんとなく’上京した。
大学受験で利用した新宿駅のあまり人の多さに「自分なんていなくても社会は回っていく」という妙な厭世観が芽生えてやっていけそうになかったので、さっさと都下の大学に進学を決めたのだった。
自分が逃げ出したこの眼下に、今日も数多の人の生活がある。
スクリーンには、新郎新婦の友人が作った会場のスケールに似合わないややチープなクオリティの映像。
でも、それがいい。
おめでとう。
結婚て、いいもんだと思うよ。
少しフラつく足で、最終の上越新幹線に乗り込む。
車窓から眺めるその街は、あの頃より少しだけ優しく見えた。