動画サイトやスマホアプリで山手線の駅メロをよく聞いている。
駅メロとは電車が発車する際に流れるメロディ。
かつて東京に暮らしていたころの思い出がフラッシュバックするような、懐かしくて切ない、なんともたまらない気持ちになる。
「せせらぎ」、「春」、「JR-SH-2」…
短いメロディにもひとつひとつタイトルが付いているんだなぁ。
いいなぁ、たまらないなぁ。
これをいいと思えるのは、懐かしさが込み上げるからだろうか。
おっ、新宿駅の山手線外回りの「新しい季節」だ。
大学受験に新潟から上京したあの日。
新宿のあまりの人の多さを目の当たりにし、自分などいてもいなくてもいいなんて厭世観に襲われた。
ここには長くはいられないと思った。
今日も幾度となく流れる発車メロディ。
ある人は都会の人並みに揉まれながら、そのメロディに陰鬱な感情を掻き立てられているだろう。
私は今日も動画サイトを開いて、そのメロディが呼び起こすノスタルジーに溺れている。
ほんの少し、都落ちの風情を携えて。